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2017.12.14

所長日記。ジャコメッティは怖い。

豊田市美術館に行って、ジャコメッティ展を見てきました。チケットを係の女性がもぎり、最初の展示室に入ると、ジャコメッティの二十代前半のモニュメンタルな半具象の作品群がありました。セザンヌに始まって、10歳年上のピカソが花を開かせたキュビズムや、また、ピカソがそうだったように、アフリカ彫刻の影響を受けた寡黙ではあるが存在感の強い作品の数々。
ここで、ぼくは混乱しました。
ジャコメッティは、写実彫刻から、今知られている細長い作品群に移行したと思いこんでいたので、かなり彼の作家活動の早い段階で、とても知的な立体の存在把握のモデルを辿らなければ出来ない、(当時でも早い段階での)キュビズム彫刻をかなりのクオリティーで作っていることに、これは一筋縄ではいかないものを感じたのです。
「当初は実物大で作っていても、モデルを見て作っていく間に1センチほどになってしまう、ので、高さを1メートルと決め、塑像を続けていったら、今度は限りなく細くなった。」という逸話は聞いていて、彼のスタイルの誕生は、どこか、病的な彼の性質の所為のような捉え方をしてきたのですが、いやいや、そんな生半可ではない。
ぼくが40代の頃、20歳年上の三重県の画家とお付き合いがありましたが、彼は「始めたときには終わっている。」と良く言っていました。絵を描くには絵を描く動機としての「なにか」が心のなかに造成されていなくてはいけなくて、つまり、絵を描き始めたときには、内面的な作るという必然性は、(作ってみないと形は分からないが、)しっかりとある、そうでなければ、作品を作るために作ることになってしまい、希薄(無駄)な行為を積み重ねるだけだ、と。
それはそれで、かなり真実を含んでいると思います。まさに、美大受験や審査の在る展示会に「出品」するために、そのような無駄な行為を重ねられたと思われる作品を、ぼくも失敗作として何回か描いてきたという実感があるからですが。
しかしジャコメッティはどうでしょうか?
彼は、
「始めたときも、終わったとされるときまでも、やはり、終わってない。」
彼の目が、モデルを見ながら、「在る」とされた線を何本も描いていく。デッサンの線は、セザンヌにも似て、モデルの稜線を何回もなぞって、どれが決定なのか全く示さない。まるで、モデルの凸部を目で何回も撫でている、あるいは凹部を何回もえぐる。
ピカソは一枚のキャンバスを相手に描きながら、何度も絵柄が変わっていくことがありますが、最終的に決定された線は揺るぎなく強く、生命力に溢れ、それを見た我々は、畏敬の念を感じずにはいられない。
ジャコメッティの線は、目の前のモデルが「在る」のか、「無い」のか、その間を行ったり来たりバイブレーションする。彫刻作品もですが、特に真横から見ると、一本の線が、大波(とはいえ、せいぜい、頭部、乳房、腰部といったところですが、)小波、中波がアットランダムに重なり合ってとそこで、なんだか、ロスコを思い出しました。ロスコの平面抽象は、ただ、幅の広い刷毛で、ぶっきらぼうに色面分割をしているわけではない。彼が、同系色でキャンバスの織り目を大切にしながら繊細な息遣いでバイブレーションを重ねていく姿は、やはり、祈りにも瞑想にも似て、その行為の間、死と生の世界を行ったり来たりしたんでしょう。
ジャコメッティは、立像を作りながら、「在る」のか「無い」のかの答えをいつかつかむのだと、くりかえしくりかえし確実な線を求めるがゆえに、バイブレーションしながら描いては作っていったのだと思いました。

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