岐阜県立加納高等学校美術科、I君とM君のラオコーン。 - 中風美術研究所 | 岐阜の美大・芸大受験予備校
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2019.02.06

岐阜県立加納高等学校美術科、I君とM君のラオコーン。

I君のラオコーンです。ハイライトから暗部へと中間色が丁寧に描かれてるので、ラオコーンの動勢の美しさや量感がしっかりと表されています。両肩の間にある頭部の座も、しっかり遠近法を理解しているからこそ、表現できます。

M君のラオコーン。ほぼ真横からの位置ですが、体の奥行きをうまく表現しています。残念なのは、頭部を描くことに集中しすぎて、きちんと両肩の間におさまらなかったことです。そのために、動勢・ムーヴマンが不自然になりました。

1506年にローマで発掘されたラオコーン。その時に31歳のミケランジェロは立ち会っていました。ギリシャ神話で有名なトロイの木馬ですが、ギリシャ軍の計略を見抜いたトロイの神官ラオコーンは、木馬に向かって槍を放ち、城内に入れさせないようにしようとしたところ、ギリシャの女神アテナが遣わしたウミヘビによって息子ともども殺されてしまう。その瞬間を紀元前3世紀前後に作られたものです。

死の瞬間を描写したものですが、こんなに甘美な表情をするものなのかという芸術論争を巻き起こしています。

ロダンが岐阜にゆかりのある女優、花子をモデルに頭部をいくつか作っています。花子は日本の劇団の一員となり、パリで舞台に立ちますが、特に、死ぬ場面で見せる表情が多くの観客の心を掴んだということです。

イメージにおける死は、イメージする側に一つのカタルシスをもたらすかもしれませんが、いたってシンプルに、死は訪れるものだと思う年齢になってきました。所長は。

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