冬至。びゅうびゅう風の吹きすさぶ寒い河原にたち、好きな形の石を探す。というつもりが、あっという間に一目惚れ。河原に足を踏み入れるなり、この石が気に入ってしまった。しかし、もっといい石はないかと川面のそばまでウロウロしたが、人間の歴史では計れない悠久な川(時)の流れに角を削られ、すべすべな美人になった石は数あれど、ぼくはこの石が気に入ってしまった。すぐに名前が決まった。安藤さん。表面の傷も、安藤さんの決して平坦ではない人生を思わせた、とところが、違うでしょ?この形はジャコメッティのソウルメイト、矢内原伊作そのものであった。