ギリシャ BC330年頃 プラクシテレス作。ヘレニズム文化の名作であり、高校二年生の T君奮闘中。
ヘルメスは、父ゼウスが正妻ヘラに隠れ、愛人というか、愛神マイアとの間につくった息子。というのにもかかわらず、ヘラにも愛される。統一前の多くのギリシャの部族にはそれぞれの神がいてその一つだったのだろうが、それらが統合をしていく間で、頂点に立つゼウスを信仰する人々にとっても、ヘルメス信仰をしている人々をうまく取り入れるために複雑な神話の構成になったのであろう。ヘルメスはオリンポス12神の内の一神として、ゼウスの息子となった。フランスのブランド、エルメスは仏語読み。ヘルメスは生まれた直後にアポロの牛を盗み、嘘をついてしらばっくれるという堂々の才能を見たゼウスは、自分の悪事の片棒を再々担がせる。性格は多方面にわたり、善悪関わりなく人の世の様々な様相を表し、芸術の神でもある。全身像では左腕に弟であるバッカスを抱き、葡萄を与えているとされる。赤ちゃんに葡萄を与え、ワインをつくることを促すあたり、実に悪いお兄ちゃんであるが、なぜか憎めない。ギリシャ宗教は懐が深いですね。