日本で、各メーカーの同じスペック、同価格なら、何を理由に商品を買いますか?
デザインです。
では、応用美術であるデザインがお手本にするのは?
ファインアートです。
ギリシャ、フィレンツェ、ローマ、パリ、ニューヨーク、多くの才能が集まり、芸術の街となる。そこには自由があり、まわりの国のあこがれとなって、文化とそれにまつわる洗練された物品が輸出される。
その結果、都市と国家が地域の覇権を握るから、どの国も、都市も、アートに関して真剣に取り組んでいますが、日本は後退してしまった。お家芸であった家電のデザインは、すでに中国や韓国に抜かれてしまった。
日本の小中高で、美術の単位はすっかり減らされ、特にファインアートは息も絶え絶えです。
特許商売で理数に力をかける、また、コミュニケーションとして、英会話を重視する、しかし、パッケージとしての全体像、コンセプトはどうするのでしょうか。
戦後、あらゆるイデオロギー教育がタブーとなり、感情が欠如した教育にどっぷりつかった昭和20年以降生まれの我々が各社会のリーダーとなり、美術は捨てられていく。
とはいえ、マーケットはバブルがはじけて以降、赤ちゃんがえりし、漫画アートや写真をなぞるニセハイパーアートが潮流でしたが、いまは、コツコツと続いた戦後現代美術に戻りつつあります。ようやくバブル崩壊以降、入れ替わったコレクターの眼が、育ってきました。
アーティストは、迫害されてこそ、先端を歩むのだから、この苦しい状況を良しとして、孤独な歩みを続けるものです。