Kさんの卓上静物デッサンです。写真とデッサンの違いは?写真のほうがリアルでしょうか?われわれ美術の世界の専門家にとって、デッサンが「出来る」ということは、正しい視覚言語を持っている、ということです。音痴ではプロの歌手になれない。(我が国ではなれますが。)訛りがあってはプロのアナウンサーになれない。のですが、なぜか美術関係においては、デッサンを習得しなくてもプロになれますし、欧米の美術系の大学では、日本ほど、デッサン力に重きを置いていません。
私は、写真と違って両目で対象(モチーフ)を見て、心を込めて忠実に描写するのだから、写真よりデッサンのほうがリアルだと確信しています。
だから、海外ブランドで製造される高級車や時計のチーフデザイナーに日本人が採用されることも多いのです。デッサン力がなくても片方の手のひらに利き手で丸が描ければ形は作れますし、ミロはいくつもの美術教室に通いましたが、通う先々の指導者にいつも見放されていた、という話や、アメリカを代表するアーティストの一人、フランク・ステラはサインのデザイナー出身で、全くデッサンが下手であったという話もあります。
とはいえ、やはり、アウトサイダー・アーティストではなく、社会の一員として大学(私学も税金で補助されています。)で勉強し、プロを目指すなら、しっかりとしたデッサン力を身に着けたほうが良いです。